まくちの謎

空想力のついてきた息子は、見えないものを手に持っている。
「おかし、もってる」
「おまめ、もってるよ」
自慢げにそう言って、見えないものを見せびらかす。

そんなある日、息子が言った。
「まくち、もってる」
まくち? なんじゃ、そりゃ。

「まくちって、なに?」
「まくち!」
「食べるもの?」
「たべない!」
「どこにあるの?」
「ぽっけ、はいってる」
「だれにもらったの?」
「びそら(近所のショッピングモール)で、かった!」
「だれが使うの?」
「ととくん!」

うーん、全然わからないぞ。
まくちって、なんだ……?

要領を得ない二歳児との会話は、水平思考パズルを思わせる。

水平思考パズルというのは、シチュエーションパズルともいわれる推理ゲームの一種で、出題者が提示した謎に、ほかのひとがさまざまな質問をして、真相を探っていく。
代表的なものに「ウミガメのスープ」がある。
「ある男がレストランでウミガメのスープを注文した。彼はそのスープを飲んだ後、自殺をした。なぜか?」
その謎に対して、
「男はそのレストランに知り合いがいたか?」 「NO」
「そのスープにおかしなものは入っていたか?」 「NO」
「男はウミガメのスープを飲んだことで、自殺を思い立ったのか?」 「YES」
「男は過去にもウミガメのスープを飲んだことがあるか?」 「YESでもあり、NOでもある」
などというやりとりをしながら、背後にあるストーリーをあぶりだしていくのだ。
ポイントは、どんなことをたずねると有益な情報を引き出せるかというところで、ずばり核心に切り込むような質問を思いついたときは、とても楽しい。

まくちの謎については、以下のやりとりで、答えにたどりついた。
「それ、どうやって使うの?」
「おくちにして、つかう」