朝、保育園で

私が立ち去るときに、息子が大泣きするのである。

去年の春から、保育園に通い出した息子。最初の一ヶ月は泣いていたが、次第に慣れ、保育園が楽しいところだとわかって、笑顔で「バイバイ」してくれるようになった。最近では、保育園が大好きで、お迎えに行っても「まだ!」と言って、帰りたがらないほどだったのだ。

それが、このところ、また、朝の大泣きがはじまってしまった。

実は、来年度から保育園の運営形態が変わり、いまの先生たちはいなくなり、四月からは名前も変わって、場所はそのままだが、新しくべつの保育園になることが決まっているのだ。そのことを敏感に察知して、不安を感じているのだろう。引き継ぎや研修のために、見知らぬひとが教室にいたりするのも、息子はおびえている。

今回の保育園の引き継ぎに関しては、役所の説明が二転三転したり、不信感を抱かせるような対応があって、保護者である私も動揺している。そのことも、きっと、息子は感じ取っているのだろう。親の不安は、子供にも伝わってしまうものだ。

一年かけて、やっと信頼関係を築いてきた先生が、ある日、突然、みんな保育園からいなくなってしまうなんて、とてもショックだと思う。
いまの保育園には満足していて、先生たちもいい保育士さんばかりだっただけに、私としても、残念でならない。

去年の春、保育園に預けはじめたころには、息子はまだ言葉を話すことができなかった。
そのとき、私は「せめて、話すようになっていれば、預けるのにもこんなに不安を感じないかも」と思ったりもしたのだが、実際、話すようになったいまでは、言葉でも訴えてくるので、余計に込みあげてくるものがある。

「さみしいよう、かあちゃん、いっしょにいて」
「ほいくえん、かあちゃん、いないから、いやだ」
「かあちゃんと、だでぃさんと、ととくんと、さんにんで、ほいくえん、いきたい」
「ほいくえんで、いっしょに、おやつ、たべよう」
「かあちゃん、おしごと、しないでー」
「いやいや、さみしいさみしい、かあちゃん、いっしょに!」

保育園に預けるというのは、悩みに悩み、考えに考えた末、決めたことだ。
実際、私の姿が見えなくなって、しばらくすると、息子は機嫌よく、おもちゃで遊んだり、おやつを食べたりしているらしい。
それでも、大泣きする子供を残して立ち去るのは、後ろ髪を引かれ、身を切られるように、つらいものである。

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