保育園への葛藤

息子、朝ご飯を食べている途中に、くすんっくすんっと泣き出す。

「ええっ、ととくん、どうしたん? なんで泣いてるの?」
「ほいくえん、いきたくないの……」
「ああ、保育園な。保育園のこと、考えちゃったのか」
「いやなの。ずっとずっと、おうちにいたいの」
「そっかあ、おうちにいたいのね。はい、ご飯食べて。自分で食べる? 食べさせてほしい?」
「かあちゃん、たべさせて」
「ほら、あーん」

ここでのポイントは、「保育園に行くか、行かないか」という議論に持ち込まないところである。
彼の「うちにいたい」という思いは受け止めてあげるが、泣くのが可哀相だからといって、要望を叶えることはしない。
そして、朝食を済ませて、着替えをしていると、息子はしょんぼりとつぶやいた。

「ほいくえん、いきましょっか」

観念したような、なんとも、ちいさな声で、しかし、精一杯の気持ちをふりしぼっての言葉に、こちらも、ほろりときそうになる。
ベビーカーに乗っているときには、自分で自分を鼓舞するように、息子は言った。

「きょう、ほいくえんで、あさから、なかないよ」
「くるりんして、あーくしゅで、ばいばい、するの」

実際、保育園の教室に入ってからは「だっこ、だっこ~」としがみついていたものの、いざ、別れる段になると、くるりん(両手をつないで、私の体をかけのぼるようにして一回転)をしたあと、泣きべそかきながらも「ばいばい~」と手をふって、見送ってくれた。

うちにいたいという気持ちと、保育園でがんばりたいという気持ちの葛藤が、息子のなかにもあるらしく、なんとも健気である。

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