お菓子の家

日本の昔話は絵本があるのだが、世界の昔話は持っていないので、グリム童話やイソップ物語などは、私がうろ覚えの知識で、息子に語って聞かせている。

ある晩のこと、寝る前に『ヘンデルとグレーテル』のお話をすることになった。

「そこには、お菓子の家があったのです。なんと、お菓子の家は、お菓子で、できていました。まあ、なんて、おいしそう!」

そんなふうに語っていたところ、横からダンナが口を出す。

「そんなんじゃ、お菓子の家がどんなのか、全然わからないよ。あなた、仮にも作家でしょう? もっとディテールは?」

ぬう、余計なことを……。
そこまで言うならば、受けて立とうじゃないか!

「お菓子の家は、屋根がふわふわのスポンジで、真っ白なクリームがたっぷりかかっていて、壁はレンガではなく、チョコレートで作られていました。そして、窓を割ってみると、それはバリパリとした透明な甘い飴で……ええっと、それから……ととくんは、どんなお菓子が好き?」

お菓子のバリエーションに困り、息子に助けを求める。
すると、息子は目を輝かせて、答えた。

「せんべい!」

よりによって、せいんべいかよ!
渋いな……。

「そして、お菓子の家のおふとんは、せんべいで、できていたのです」