『ひとりってこわい!』が発売中です

ホラーアンソロジー『ひとりってこわい!』が発売になっています。

キャッチコピーが「お話の力を信じる児童文学作家5人が、こわい話が好きな小学生のために、腕によりをかけて綴った、上級『こわい』話!」というだけあって、しっかり読み応えがあり、本物の恐怖を感じさせる話がたっぷりつまった「怪奇小説集」となっております。

私は『ともだち』というタイトルの短篇を書きました。
表紙に描かれている女の子が出てくる話です。
結布さんのイラストが、素敵に不気味ですね。

ほかの収録作は
『箱』香谷美季
『妹』石川宏千花
『かくれんぼ』ひろのみずえ
『手紙』石崎洋司
で、それぞれの物語によって、書体(文字のデザインや大きさなど)が違っていたり、本の作りが凝っています。

おなじく実力派の児童文学作家5人が書いたラブリーでちょっぴり切ないホラーアンソロジー『好きって、こわい?』も、同時発売になっていますので、合わせて読むと、より楽しめるかと思います。

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育てにくい子?

保育園の夏祭りに息子を連れて行ってもらったときの話をしていて、ダンナがぼそりと言う。

「うちの息子は、どうも、やっぱり、扱いにくい子のようだね」

息子はすでに寝ていて、夫婦ふたりでの会話である。

「え? なんで、そう思ったの?」
「いや、保育園の先生の反応とか見て。うわ、問題児が来た……みたいな感じで」

あー、それはわかるかも。
そういう目で、自分も大人から見られていたなあ……と幼き日をほろ苦く思い出す。
親や教育者にとって、手がかかり、管理しづらくて、厄介な子供……。
いわゆる「いい子」とは対極にある存在だった。

日記などの文章は、私の視点で、息子を描いているので、親ばか全開モードというか、「あら、可愛らしいお坊ちゃんね」と思われる向きもあるかと思うが、客観的に見ると、彼は育てにくい部類に入るのではないかという気がする。

・好奇心が旺盛
(また、余計なことをする! いたずらはやめなさい!)

・自己主張が激しい
(もうっ、わがままばっかり! 言うこと聞きなさい!)

・口が達者
(ほんと、生意気で、むかつく! うるさい!)

そして、こだわりが強く、協調性に欠ける……。
夏祭りで撮った写真を見せられ、おなじクラスのお友達が「やさい音頭」を踊るなか、ひとり、ででーんと座っている息子のすがたに、苦笑するしかなかった。

息子にとって幸いだったのは、私自身がかつて「扱いにくい子」だったことだろう。
もし、私が子供時代に「いい子」だったら、息子に対して「どうして、ちゃんとできないの!」とイライラしてしまったかもしれない。

私はいまだかつて「ちゃんとできた」ことなんてなく、それでも、それなりになんとか生きてこれているので、まあ、息子もこの調子でもなんとかなるだろうと、彼の奔放さを面白がっている節がある。

小松左京ナイト

ダンナと息子は保育園の夏祭りに行き、私はひとり、大阪市立科学館で行われる小松左京ナイトへと向かう。

いまは児童文学を主に書く作家になっているが、実は、大学時代に所属していたサークルは「SF研究会」だったりする。
まあ、私がいた頃には、SF小説を読むというより、映像系のひとが多く、先輩方はゲーダイガーなる戦隊ヒーローをやっていたりする楽しいサークルだったのだが。

小松左京作品には特に思い入れが深いわけではないのだけれども(多才な作家だとは思うが、巨星ゆえに「私の愛する作家」という感じではない)、この年代の作家ならではの生き様には惹かれるものがあり、氏の事務所があったホテルプラザの近くに住んでいたことがあったり、いまは氏の自宅があった箕面在住だったりと、勝手に親近感を抱いて、一周年の追悼イベントに参加してきた。

今回のイベントは、プラネタリウム・ホールが会場になっていて、宇宙SFなイメージにぴったりだった。
ゲストの堀晃氏(SF作家)、福江純氏(天文学者)らの案内で、小松作品に描かれた宇宙が紹介されるのだが、ただの講演会ではなく、ゆったりとしたソファーに背中をあずけ、ドームを見あげると、氏の作品タイトルが天から降ってきたり、『結晶星団』に出てくる恒星の動きが再現されたり、『虚無回廊』の謎めいた巨大な茶筒みたいな天体の見え方を検証してみたりと、プラネタリウムならではの演出が面白い。

そして、リメイク版の『日本沈没』を撮った樋口真嗣監督の手による「小松ロケットが宇宙に飛び立ち星になる追悼映像」が上映されて、小松氏の作中の言葉が朗読されると、ああ、そうだ、これは追悼イベントだったんだ……と思い出して、切なくなる。

しかし、映像が終わると、会場は拍手に包まれ、イベントのチケットは予約分だけで売り切れたらしいことも思い出して(入り口で、創作講座の生徒さんと会って「せっかく来たのに完売してたんですよ」としょんぼり話していた)、作家の死後もこれだけのファンが集まるというのは凄いなあと、あたたかな気持ちがこみあがってくる。

帰り道、人波のなかに「眉村先生を囲む会」でお世話になっている大熊さんのすがたを見つけて、声をかける。
眉村卓先生は、私の大学時代の恩師であり、縁あって、もう何十年も続いている囲む会に、参加させてもらうようになった。

プラネタリウムを出て、星のない梅田の夜空を見あげながら、大熊さんと「平行世界」について話す。
グレッグ・イーガンの『ディアスポラ』と、眉村先生の描く「パラレルにいる自分に対する影響」の解釈のちがいとか。

家に帰り着き、まだ眠っていなかった息子から、夏祭りの話を聞く。
なんだか、とても、遠い場所に行って、帰ってきたような気分になった。

カジヒデキのライブ

作家友達の風野潮さんと、心斎橋JANUSへカジヒデキのライブに行ってきた。
なにげに、若い頃、小沢健二とか、ピチカートヴァイブとか、渋谷系が好きだったのである。

私が出かける気配に気づいて、息子がまとわりついてくる。

「どこいくの?」
「潮さんと、お歌、聴きに行くんだよ」
「ととくんも、いきたい!」
「うーん、ととくんがもうちょっと大きくなって、じっと静か静かにできるお兄ちゃんになったら、いっしょに行こうね」

いや、ライブって、そんなに静かにじっと聴き入るものじゃないか。
ここ数年、音楽といえば、クラシックとかオペラだったので、ライブのノリがわからん。

そして、ダンナにも「気をつけてね」と見送られる。
うん、心配ないよ。あなたが行くようなメタルバンドのライブとは、たぶん、客層がちがうから。

そんなわけで、潮さんと心斎橋に行き、オーガニック&ベジタリアンカフェ「Atl」で、まずはお茶。
ここのベーグル、これまで食べたことないくらいハードで、みっちりして、美味しかった。

そして、ライブはスタンディングだったけれども、人の上を人が流れて行く(モッシュ&ダイブというらしい)とかもなく、ほどよい感じで、音楽に身をゆだねることができた。
新譜の『ビーチボーイのジャームッシュ』に続いて、『甘い恋人』で盛り上がる。目の前で汗だくになって歌っているのが、キャリアを積み、四十五歳になったポップ・アーティストというので、余計に、感じ入るものがあった。
ゲストで参加していた、北海道出身のひとたちがやっているというKONCOSの音楽も好きな感じだったし、ひととき、青春や恋愛の切なさなど思い出して、楽しい夜を過ごす。

ちなみに、潮さんはふだんはロック系のライブに行くことが多く、息子さんが大学生のときにその友人たちとGREEN DAYというパンクバンドのライブに行って、人波に揉まれ大変な目にあったそうな……。
その話を聞いて、大学生になった息子とライブに行くなんて、素敵だなあと思った。

息子が大きくなって、夜遊びできるような年頃になったとき、果たして、彼は私といっしょにライブに行きたいと思うのだろうか。
ライブでなくても、共通の趣味を楽しめるような、そんな親子関係を築きたいものである。

連載WEB小説『ぼくの嘘』が更新されています

講談社「YA! ENTERTAINMENT」のサイトにて連載中の『ぼくの嘘』第二十三話がupされています。

http://www.bookclub.kodansha.co.jp/books/ya-enter/novels/#uso

ラストに向かって、ひた走っております。

『ぼくの嘘』は、姉妹編である『わたしの恋人』と対比した作りになっています。
リア充とされている古賀くんは、サッカー部の先輩とは恋愛の話なんかできないと思う。
一方、そういうのと無縁だと思われているパソコン部で、笹川くんは先輩からアドバイスをもらう、というのも人間関係の妙なるところです。

笹川くんは、アニメ好きという設定なのですが、実際の番組名を出すかどうかは、少し悩みました。
アニメというのは、リアルタイムの放送で見ているとすると、作中の年代が特定されてしまうので、いつ読んでも内容が古びないように、今回はあえて番組名は出さなかったのでした。

あっくんの謎

保育園には毎日、連絡ノートを書いて、持って行く。
保護者と保育士の交換日記のようなもので、子供の言動や体調など、伝えておきたいことを記入するのだ。

・家庭での様子、連絡事項など
「最近、あっくんというお友達のことをよく話しています」

・保育園での様子、連絡事項など
「あっくん……。だれでしょう? もも組には、あっくんと呼ばれているお友達はいません。(ぶどう組にはあきひろくんがいますが、接点はないと思います)」

…………こわいよ!
このエピソードをこわいと感じるのは、私の想像力が豊かすぎるから? ホラー小説の読み過ぎ?

谷崎潤一郎の『金色の死』

次のありすの新刊と、もしかしたら内容が似ているかもしれないので、確認のため、谷崎潤一郎全集に入っている『金色の死』を読む。
うん、だいじょうぶ、たぶん、だれも似ているとか言わないと思う。

もともと、江戸川乱歩の『パノラマ島奇譚』が、この『金色の死』にインスパイアされたものだと知って、気になっていたのだ。

谷崎潤一郎って、教科書に『陰翳礼讃』が載っていたりで、文豪のイメージがあるけれども、乱歩とおなじように「奇妙な味」の「ヘンテコ小説」が多くて、愛嬌があるというか、昔から好きな作家のひとりである。

以下、ネタバレ。

全身に金箔を塗ると、皮膚呼吸ができなくなって死ぬ、という都市伝説が作中(初出は大正時代)に使われているのに、驚いた。
映画の『007 ゴールドフィンガー』で広まったのだと思っていたけれど、それよりも昔から、結構、一般的な知識だったのか。