チェブラーシカとロシア・アニメーションの作家たち

滋賀県立近代美術館まで、親子三人で、チェブラーシカの展示を観に行ってきた。

実は息子、二歳にして、美術館を訪れるのは、六度目くらいなのである。
まだ保育園に行っていなかった頃、私が仕事をするあいだ、ダンナに息子を連れて出てもらうことが多かった。
ダンナは、おなかに抱っこひもに入った息子を連れていようとも、あまり気にせずに、面白そうな展示があると、美術館に入っていたらしい。
美術館なんてよくそんなところに赤ちゃん連れで行くなあと思っていたのだが、逆に、まだ歩くことも話すこともできない赤ちゃんだったからこそ、寝てしまえば静かなものなので、連れて行くことができたのだとも言える。

そういうわけで、歩くことも話すこともできるようになった息子は、美術館で大はしゃぎだった。

「ちぇぶちゃん! いた! かわいい!」
「あっちも! ちぇぶちゃん、いる!」
「ここ! こっち、もっと、みるの!」

こんな調子で、大きな声を出したり、走りまわったりと、もう、冷や汗ものであった……。

ただ、展示の内容的に、大人向けというわけではなく、子連れで来ているひともちらほらいたし、常設展の現代アートにも子供向けの解説がついていたりと、ちいさなお子さんもOKな雰囲気があったのが、救いだった。

展示の第一部は「原作となった児童書の挿絵原画から多彩なチェブラーシカの姿を誕生から追う」ということで、ロシアで出版された本がいくつか展示されていて、いろんな挿絵バージョンのチェブラーシカを見ることができたのがうれしかった。
真っ黒でタヌキみたいなチェブラーシカとか。
どう見ても太りすぎの二段腹をしたチェブラーシカとか。
……え? これ、ヨーダ? みたいなチェブラーシカとか。
おなじ物語でも、挿絵によって、ずいぶんと印象がちがうものだ。

原作者であるエドゥアルド・ウスペンスキー氏のインタビュー映像が流れていたのも、児童文学を書く身として、いい刺激になった。
そして、展示の第四部は「ロシア・アニメーションの作家たち」ということで、チェブラーシカだけでなく、さまざまなロシアのアニメーションの絵コンテが展示され、映像も流れていて、久々に自分でもコマ撮りアニメを作りたくなった。
むかーし、大学生の頃は、ひまがあったので、ビデオカメラで、一コマ撮っては、人形を動かし、一コマ撮っては、また人形を動かしと、コマ撮りアニメーションを作って、遊んでいたのでした。

ミュージアムショップで販売しているグッズは、思ったより少なかった。
買ったのは、まず、図録。
衝撃的に可愛くないヨーダみたいなチェブラーシカの描かれたクリアファイル。
電話ボックスでチェブとゲーナがお茶してるポストカード。
どことなく出っ歯なチェブラーシカのロシア製陶器の置物。

あと、二階のくつろぎ美術館というところでパンを販売しているらしく、私がお土産を選んでいるあいだに、ダンナと息子は買いに行ったのだが、売り切れていたそうで……。
しかし、息子が「ぱん、たべたい! ぱん!」と言ったところ、店のひとが「これ、予約分ですが、来られないみたいなので……」とひとつだけ、売ってくださったらしい。子供がいると、親切が本当に身にしみます……。
その米粉のシフォンケーキが、ふわふわで、めちゃおいしかったので、ああ、展示を見るまえに、パンをいろいろ買い込んででおけばよかった、と思う。
これから滋賀県立近代美術館に行かれる方は、早めにパンをゲットしておくことをおすすめします。

滋賀県立近代美術館はJR瀬田駅からバスで二百円の「文化ゾーン」に建っているのだが、同じ敷地内に茶室や素敵な図書館もあり、緑豊かな公園は広々としていて、ちょうど雨上がりできのこが生えていたり、竹林があったりで、とても雰囲気がよかった。

大阪からだとちょっとした小旅行という遠さだったが、さすが美術館の展示だけあって充実の内容で、ほくほくしながら帰路についた。