飼い主はマナーを守って

道に落ちている黒いブツに、興味津々の息子である。

「みて! ほら、あった! おおきい」
「ほんとだ。大きいねえ」
「なんで、あるの?」
「わんわんがうんこしたのを、飼い主さんがおいていっちゃったんだろうね」
「ちゃんと、もってかえって、おといれに、ながしたらいいのに」
「そうやねえ」
「めっちゃ、めーっちゃ、わるい、いぬぬしやね」

いぬぬし!?
うん、まあ、犬の主だから、間違いではないか。

おもち、たくさん、いやだ~

ある日。
おやつに豆大福を食べていたところ、息子が言った。

「まえ、おもちのごほん、だでぃさんに、よんでもらった」

うん? おもちの絵本?

「おもちが出てくるような絵本、家にあったっけ?」

私が首をひねると、息子は言葉をつづける。

「おもち、たくさん、いやだ~のごほん、おうちに、あるで」

うーん、そんな本があっただろうか……。
桃太郎のきびだんご?
でも、たくさん、いやだ~って、どういう……。
と、しばらく、考えて、はたと思いつく。

「ああ、まんじゅうこわい、か」

すると、息子の顔に「ソレダ!」という満足げな笑みが広がる。

「ととくんね、はみがき、こわい!」

いや、あの話の文脈からすると、それって、はみがきをいっぱいされることになるのだが。

『ぼくの嘘』(講談社)が発売中です

講談社「YA! ENTERTAINMENT」のサイトにて連載していた『ぼくの嘘』という作品が単行本化されました。

 

オタク男子と世慣れた美少女、真逆な二人がある目的のために行動をともに。
怖いくらいリアルで、ロマンティックな、新感覚青春小説。

 

親友の恋人に密かに恋心を抱いている地味な眼鏡男子の笹川勇太は、クラスの女王的存在の結城あおいに致命的な弱みを握られてしまい、彼女の頼みを聞くはめに。パソコン部で趣味はゲームとアニメという本気系オタク男子と、バイトでモデルもするような世慣れた美少女、同じクラスにいても会話したこともなく、決して交わることのなかった二人が、ある目的遂行のために行動をともにする。立場や視点は真逆でも“世の中の複雑さ”をよく知っているという共通点からか二人の相性は意外と悪くなく……?

 
【あとがきに代えて】
今回の作品では、主人公たちが文中において、アニメ番組や哲学者の言葉を引用している箇所があります。
作品の性質上、すべてのネタ元を明記することはできませんでしたが、関係者の方々にはこの場を借りまして、御礼申し上げます。
ちなみに、帯コピーにも使われている「絶望した!」の元ネタである久米田康治先生は『さよなら絶望先生』や『かってに改蔵』はもちろん、『行け!!南国アイスホッケー部』の頃から好きでした。

新作落語会『ハナシをノベル!』

自分が原作を書いた「猫落語」が、上演されました。
一体、どんなふうになるかとドキドキでしたが、自分の原作を月亭八天さんが見事に落語に仕上げてくださっていて、ほんと、プロの落語家さんというのは「すごい!」と感動でした。

一緒に上演された『ロボット医者』は、小粋なSFショートショートといった感じの落語で、私もお客さんとして楽しませていただきました。
旭堂南海さんの講談『神崎与五郎東下り』も、古典の名作で、ぐんぐん引き込まれて、素晴らしかったです!

普段はひとり部屋にこもって、黙々と孤独に仕事をしてるので、実際に目の前で、お客さんの反応を見ることができるというのは、非常に新鮮でうれしかったです。笑い声が広がったときには、ほっとしました。
そして、いつしか、ウケるだろうかという心配もすっかり忘れ、八天さんの芸を純粋に楽しんでいたのでした。

再演の機会があれば、また、どんどん改良していけたらいいなあと思っています。

お越しいただいた皆様、本当にありがとうございました!