最近、息子のブームは『ジャンケン』である。
「おかあさーん、グーに、かつのは、なに?」
「パーだよ」
「そんじゃ、ぼく、パーだすから、おかあさん、グーだしてね」
そんな接待ジャンケンをしてあげるほど、私は甘くはない。
「だって、ととくん、パー出すんでしょ? お母さんがグー出したら負けるじゃん。いやだよ、お母さんはグー、出さないよ」
「じゃあ、なに、だすの?」
「それは言えない。教えたら、負けちゃうでしょ」
「ええー、グーだしてよ、おねがい」
「うーん、どうしよっかなあ……」
「さいしょは、グー! じゃーんけーん」
「ぽいっ!」
息子、パー。
私、チョキ。
おとなげなく、勝ちにいく私。
「なんでー? おかあさんは、グーっていったのにー」
「でも、ととくんは、パー出すんでしょ? それで、グー出したら負けるから、お母さんはチョキを出したんだよ」
「……わかった。そんじゃ、もういっかいね」
「さいしょは、グー! じゃーんけーん」
「ぽいっ!」
息子、グー。
私、パー。
「なーんーでー? なんで、こんどは、チョキじゃないのー?」
しかし、久しぶりに、ジャンケンという行為をしたよ。
大人になると、あまり本気でジャンケンをする機会ってないよね……。